『サッカーとは何か』戦術的ピリオダイゼーションを知りたかったらこれを読むべし! | 林舞輝 | 書評 #サカナニ

戦術的ピリオダイゼーション」って何ですか?
「うーん、戦術的なものを落とし込んで期間を意識したトレーニングですね」

比較的サッカーの最先端の戦術や理論に興味ある人でも、10人に聞いたら、半分位はこんななあいまいな回答になってしまうんではないかと、、、

戦術的ピリオダイゼーションという言葉を目にする機会は多いですが、もちろん私もきっちり答えられません。

なんせ、ネットで検索しても、「戦術的ピリオダイゼーションとは・・・○○だ!」みたいなことを明確に述べているサイトはありませんから。

うーん、じゃあ、戦術的ピリオダイゼーションってわかりやすく言うと何なの?って、もやもやしっぱなしのあなた。

この本を手に取りましょう。

読み終わった後に、戦術的ピリオダイゼーションとは何か?と問われれば、腹に落ちた自分の言葉で回答できるようになっていると思います。

本書データ

タイトル 「サッカー」とは何か
サブタイトル 戦術的ピリオダイゼーション vs バルセロナ構造主義
欧州最先端をリードする二大トレーニング理論
著 者 林 舞輝
出 版 footballista
発 刊 2020年5月12日

目次

第1章 戦術的ピリオダイゼーション

第2章 構造化トレーニング

林舞輝インタビュー「旅の終わり」

書評

「著者の林舞輝さんはやはり言葉使い、表現が上手い」というのが読み始めてすぐに思ったことでした。

言わずもがなですが、林舞輝さんはイギリスの大学でスポーツ科学を専攻し、首席で卒業。指導者養成の名門であるポルトガルのポルト大学スポーツ学部の大学院への進学やモウリーニョが責任者を務めるエリート指導者養成コースで学ぶなど、アカデミックなバックグラウンドが素晴らしい方です。

加えてイギリスやポルトガルでコーチや分析官も経験も積まれているというから頭が上がらない。そしてまだ若干25歳(2020年現在)。

2019年からJFLの奈良クラブのGMとなり、2020年からは監督を兼任されています。

言葉だけが独り歩きしているような戦術的ピリオダイゼーション。
結局これ何?という問いに対して、序盤にしっかりと一言で解説してくれました。

「従来のフィジカルコンディショニングのためのピリオダイゼーションに、さらに各チームのプレー原則やゲームモデル等の戦術的要素を組み込んだ『意思決定』の統一による『チームシンクロ』を目指すトレーニングメソッド」
引用:本書より

すごくすっきり。

もちろんこの一言解説に出てくる「プレー原則」や「ゲームモデル」という言葉も、モウリーニョや戦術ピリオダイゼーションを提唱したヴィトール・フラーデ氏の言葉を引用しながら丁寧にブレイクダウンして解説してくれております。

そしてさらに一歩踏み込むところが林舞輝さんのすばらしいところ。

ゲームモデルですが、実際にどうやって作ればいいのですか?

この問いに対して「監督=建築家・不動産屋」で例えから、具体的な解説を施してくれています。

不動産屋が家をお客様に進めるときに、いろいろ聞きますよね。

「どんな家に住みたいのか?」
「どの辺に住みたいのか?」
「家族構成は何人?」等々。

こう読み進めていくとゲームモデルは監督の理想のサッカーでないこともすっと入ってきます。

そして各章のまとめとして図解もあるので、文章で理解してことを図でおさらいするのもいいでしょう

構造化トレーニングも然り。

そして、この本のタイトル。「サッカーとは何か」。
なんでこのタイトルなんのでしょうか?

一回目に読んだときはタイトルのことを意識せず(というか忘れて)読んでいたのですが、改めて読み直して理解できたような気がしました。

サッカーの本質的なところは、「11人対11人で、ボールを蹴りあって相手ゴールに入れる」というシンプルなものですが、そこに競技スポーツとして「勝つ!」という究極の目標が設定されたときに、フォーメーションや戦術が生まれ、攻め方、守り方、ひいてはボールの運び方が研究され、実践され、さらに洗練されてきました。

サッカーの最先端である欧州において、各国リーグは優に100年以上の歴史がありますが、今もなお、新たな理論や戦術が出てくるという事実。

そしてそれを実践して実績を残したモウリーニョやグアルディオラのような名将が出てくるという事実。

ただ単にボールを蹴りあうシンプルなスポーツが終わりなく進化する奥深さ。

その様(さま)を捉えて林舞輝さんは「サッカーとは何か」ということを言いたかったのだと、勝手に解釈した次第です。

つらつらと思うところを書きましたが、非常に良書。

そして林舞輝さんが監督を務める奈良クラブも試合も是非注目していきたいと思っております。#サカナニ

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