リバプール戦術分析・マッチレビュー/vs エバートン/南野デビュー

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FAカップ3回戦。このラウンドからプレミアリーグ勢が参加する。

そしてリバプール。
FAカップ2019-20の初戦となる相手は3度のチャンピオンズ・リーグ優勝を誇る名将アンチェロッティを迎え入れたエバートン。

年明け早々にマージーサイドダービーである。プレミアリーグではここまで20戦無敗をキープ。昨年も含めると1年間全く負けなかった。

とにかく強くなったリバプールは、プレミアリーグでは栄冠の座を着々と手繰り寄せている。

そしてこのFAカップについては2005-06シーズンから戴冠に遠ざかっているので、14年ぶりの優勝に向けてまずはこのダービーを制したいところ。

そして何といっても注目は南野拓実。リバプールに電撃移籍した南野拓実が遂に先発出場となる!

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Match Information.

FAカップ2019-20
3回戦
リバプール vs エバートン
@アンフィールド

2020年1月5日(日)
25時01分 Kick Off.

試合結果

■Result
リバプール 1-0 エバートン

■得点
リバプール/
71分 カーティスジョーンズ

■交代
リバプール/
09分 ミルナー → ラルーシ
70分 南野 → チェンバレン
79分 エリオット → ブリュースター

エバートン/
63分 シグルズソン → デルフ
63分 コールマン → ケアン
79分 ウォルコット → ベルナルジ

私的戦術分析・マッチレビュー

プレミアリーグよりも優先度が落ちるカップ戦。

マージーサイドダービーらしいインテンシティの高いゲームでしたが、リバプールは主力を軒並み温存して臨んだため、何度もゴールを脅かされる場面がありました。

やはり主力組と差は大きいと言わざるを得ませんが、それでも勝ってしまうところが今のリバプール。

起用された若手選手はアピールに専念した試合でもありました。

それでは私的戦術分析・マッチレビューです。

フォーメーション

リバプールは若手主体の構成。主力級はミルナー、ゴメス、ララーナ、オリギとなる。

(若手達)
フィリップス(CB)22歳
ウイリアムス(右SB)18歳
チリベジャ(アンカー)22歳
ジョーンズ(左IH)18歳
エリオット(右WG)16歳

このメンバーに南野拓実とアドリアンを加えてキックオフ。

ゴメスも22歳、アーノルドは21歳なので、正直、若手主体とも言えないのが正しい表現。今回出場機会を得た選手にはどんどん遭い上がってきてもらいたい。

フォーメーションの【4-3-3】は変わらず。サラーの位置には同じくレフティーの弱冠16歳エリオットが入る。

一方のエバートン。【3-5-2】の布陣でくると思ったが、アンチェロッティがとった策は【4-4-2】。

最終ラインは4バックで固めるが、前線は比較的流動的で【3-4-2-1】のワントップ、ツーシャドーのような布陣も見せる。

序盤(最終ラインからの組み立て)

お互い前線からプレスをかける展開。

リバプールの2CBに対して、エバートンのツートップがプレスをかけてくる。リバプールは数的同数のためビルドアップのやりづらさを感じていたかもしれない。

通常であれば、ここでヘンダーソンあたりがSBのポジションに降りてきて数的優位を確保するが、アンカーのチリベジャにその動きは見られない。

幸いにしてエバートンのプレスがリバプールのアンカーをカバーシャドーしながらプレスをかけていないので、1-2度パス交換をすることでアンカーへの供給が容易であったと感じた。

これはフォーメーション噛み合わせもある。エバートンはツーボランチ気味の布陣なので、高い位置取りをしていないとどうしてもリバプールのアンカーがフリーになってしまう。ここをリバプールはうまく使えていたと思う。

(参考)ヘンダーソンがサイドバックポジションに降りるシステムはこちらの記事。

そして南野拓実。まだ数日した練習を行っていない中で、フィルミーノの代役を務めることとなったが、うまくゲームに入れていたように見えた。

最前線ではブロックが引かれているので、中盤に降りてきてボールを要求する動きを頻繁に見せていたが、ただこの試合。

エリオットやオリギが自分のポジションからほとんど動かかない(特にエリオット)ため、なかなかエバートン布陣が崩れない。

南野が一人動くだけではスペースが作りづらかったように思える。南野が得点を匂わせたのは前半33分。オリギからのクロスに頭で合わせるが一歩届かず。

Embed from Getty Images

リバプールのプレスについては、南野が献身的にプレスを掛けていたことが印象的だ。

フィルミーノよろしくアンカーを見ながらプレスをすることで中盤への供給をシャットアウト。

サイドはオリギとエリオットが塞ぐため、エバートンは前線へのフィードが非常に多かった。

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エバートンは右サイドから攻めるパターン

エバートンの攻撃時にはカルバートルーウィン(9)をターゲットとし、ウォルコット(11)、リシャルリソン(7)をシャドーとする【3-4-2-1】に可変する。

リバプールはカルバートルーウィンをケアするが、ツーシャドーをなかなか捕まえ切れず、裏を取られるシーンが多い。

また、右SHのシディベ(19)がリバプールのWGとSBの間のポジションを取ることでボール回しの起点となる。

ここにウォルコットがチャネルランで裏をとり、右からクロスを入れられる(前半27分)。ミルナーが早々に負傷交代ということもあるが、右から崩されるリバプールである。

しかしここはアドリアンの好セーブが光った。少なくても3点は防いだと思う。

後半

ハーフタイムでクロップ監督はどのような指示をしたかは図り切れないが、ゴールへの意識を強める指示があった可能性がある。

リバプールがロングシュートを狙うシーンが多くなった。若手陣は少しでも爪痕を残そうという意識の表れか。それがジョーンズのゴールに繋がる。

左から豪快なミドルシュートを叩きこみ、エバートンから1点をもぎ取る。

エバートンはマージーサイドダービーらしい激しい動きを見せていたが、終盤になるとプレスも弱くなり、ボールの奪いどころで奪えなくなる。

そしてこのまま逃げ切ったリバプールが勝利を手にした。

終わりに

エバートンはほぼ主力と言っていい布陣であり、前半は危ないシーンが多々あった。

そんな中、ゴメスやララーナといった主力級選手はやはり落ち着きをもたらす存在であったと思う。

そしてサラー、マネ、ロバートソン、アーノルドといったスタメン級が改めて別格であると思い知らされた試合でもあった。

攻撃時にサラーとマネは幾度となくダイアゴナルランを仕掛けてチャンスメイクを行い、ロバートソン、アーノルドは頻繁にサイドチェンジを行うが、本日の試合はこれらの動き、展開はほとんどなかったと言ってよい。

しかし考えてみるとそれは当然のことと割り切れる。何せリバプールのベスト布陣は現時点で世界最強と言っても過言ではない。同じこと求めても仕方ないがないのだ。

これでリバプールは無敗も継続。

そして次戦は再びプレミアリーグに戻る。対戦相手はモウリーニョ率いるトッテナム。一筋縄でない戦いが週末に待っている。


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