大学サッカーってもっともっと注目されていいと思いませんか?
高校年代で名を馳せた選手が切磋琢磨し、しのぎを削って戦う試合は、非常にレベルが高く、プロを目指す選手が多いだけに、インテンシティも強く見応え満載、と個人的には思っております。
実際に試合を見て頂くと、高校サッカーよりは明らかに一段ギアが上がった試合内容であることがよく分かると思います。
その大学サッカー界で名門であり強豪でもある「明治大学サッカー部」。
本書ではその監督である栗田大輔氏が、明治大学サッカー部の流儀、指導方針等を余すところなく披露してくれています。
明治大学サッカー部が知りたい方はもちろん、大学サッカーを知りたいという方も、是非手に取ってみてください♪
本書データ
タイトル | 明治発、世界へ! |
著者 | 栗田大輔(明治大学サッカー部監督) |
出版 | 竹書房 |
発刊 | 2021年5月 |
目次
書評
ここ数年、明治大学からプロになる選手が非常に多い。
プロになるのは1人2人ではない。
10名前後の選手が毎年プロになるのだから、何らかしらの秘訣のようなものがあるに違いない。
それを紐解く内容がここにはある。
ちなみに本書の付録データによるプロ排出人数は、2015年:9名、2016年:7名、2017年:5名、2018年:9名、2019年:9名、2020年:12名、である。
明治大学サッカー部の特徴として「少数精鋭」が挙げられる。
各学年15名程度の精鋭でトータルで約60名。
他の大学ではかなりの人数を取るケースが多く、トップチーム、セカンドチームのみならず、サード、フォース、、、と多くのカテゴリにチームを持つ大学が多い。
しかし、明治大学の場合、少数精鋭にこだわることで、この60名が全員トップチームを目指して猛烈に練習する環境にあると言う。
明治大学サッカー部の3原則は「球際、切り替え、運動量」だ。
この3原則をベースに「ハイプレス、ショートカウンター」というコンセプトのもと、各選手がハードワークし、「攻守に強度の高いサッカー」を目指している。
特にこの強度に関しては監督のこだわりが感じられる。
「強い個人」がモットーとなり、明治大学サッカー部は「対人」に徹底的に鍛える。
それは「世界と同じ土俵で勝負した時に戦える選手」をイメージしながら著者が指導にあたっているという点がその背景にある。
監督の方針として「大学はプロ養成機関ではない」と言い切るところも注目だ。
それは大学サッカーも社会の一環であり、きちんと人間的な成長と所作が求められるからである。
こうしたプレイ内容のこだわりと、人間性のこだわりを突き詰めることで、選手が大きく成長し、それが結果として、タイトル数やプロ内定者数に繋がっているのだろう。
栗田大輔監督は専任監督でないことに驚いた。
大手ゼネコンの会社員をしながら、明治大学サッカー部を率いているのだ。
明治大学サッカー部の練習は朝6時から8時までとは言え、仕事と監督業の兼任に脱帽する。
後半では「大学サッカーの未来」にも言及し、新しい試みに挑戦する。そして「著者の夢」とは、、、。
と盛りだくさんな内容である。
大学サッカーは高校サッカーより知名度が低い分、情報も少ない。
本書はそれを補うには余りある内容であることは言うまでもない。
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