おすすめのサッカー本の紹介です。
育成年代ファンの自分にとって、書店で見つけた際に即買いした本。
サッカーの育成年代、中でも特に2種(高校年代)にフォーカスした一冊であり、育成年代ファンのみならず、サッカーをやっている小学生、中学生の子供を持つ親にとっても、興味深く読める内容かと思います。
高校生になる際に進路をどうしよう?と悩む親御さんも多いのではないでしょうか?
書籍情報
タイトル | 育成年代 |
サブタイトル | 高体連 vs Jクラブユース 日本サッカーの将来を担うのはどっちだ⁉ |
著者 | 原田 大輔 |
出版 | TOKYO NEWS BOOKS |
発刊 | 2019年12月16日 |
目次
第1章 高校サッカー協会が目指す育成の姿とは?
第2章 高体連サッカー部 強豪校の監督に聞く①(流経大柏高校)
第3章 高体連サッカー部 強豪校の監督に聞く②(前橋育英高校)
第4章 Jクラブユースの指導者に聞く①(FC東京U-18)
第5章 Jクラブユースの指導者に聞く②(柏レイソル)
第6章 日本サッカーの育成に異議あり(ACミランアカデミー千葉)
第7章 育成年代・世界と戦うために必要なものとは
書評
日本の高校年代におけるサッカー環境は、高校サッカー(いわゆる部活。本書では高体連)とJリーグの下部組織を中心としたクラブチームに大別されます。
育成という観点に焦点を当てたとき、高体連サッカー部とJクラブチームはどちらがいいの?という疑問が湧くところでありますが、高体連サッカー部には高体連サッカー部ならではの、クラブチームにはクラブチームならではの目的があり、そもそも発展してきた過程や設立主旨が異なるため本来は比較できないものと言えます。
しかし一方で、Jクラブチームは当然として、高体連サッカー部からも毎年プロ選手を輩出している事実がありますので、この比較できない両組織のメリット、デメリットを検証し、それが日本サッカー界にとって有意義なものであるということの証明を本書は試みています。
そして世界的にも稀に見る育成システムを持つことになった日本サッカーについて、JFA育成担当責任者、高体連の強豪校の監督、Jクラブチームの指導者、さらには海外ビッグクラブの育成担当者にインタビューを重ね、それぞれの組織の強みや問題点を深堀している点も本書に非常説得力を感じるところです。
近年では、本来交わらないはずの高体連サッカー部とJクラブチームが同じ土俵で戦うリーグが出来ました。それがプレミアリーグを最上位リーグとする年間を通したリーグ戦。
このリーグ戦では、青森山田高校等の強豪高体連サッカー部がプレミアリーグに所属し、Jクラブチームと毎週拮抗した戦いを繰り広げています。
リーグ戦を通じて、お互いに切磋琢磨し、高体連の選手はメンタルだけでなく技術を磨き、クラブチームの選手は技術だけでなく戦う姿勢も身に着けてゆくことで、日本サッカー界を背負っていく人材が育成されるということを期待していると文脈から読み取れます。
高体連サッカー部とJクラブチーム。端的に両組織が共存するメリットについて、本書の言葉を借りれば、
「中学を卒業したときに、Jリーグのアカデミーでプレーするのか、高体連のチームでプレーするのか。この2つの選択肢があるということが、逆に日本の強みである。」
ということでなります。欧州や南米に比べてサッカーの歴史が浅いに日本において今後世界と肩を並べて行くには、育成年代において、高体連サッカー部とJクラブチームという両軸を持ち、裾野、そして受け皿を広げることでそれぞれ適した育成環境を整えることが、日本にとって大きなメリットであったと良くわかる一冊となっています。
コメント