This is the Football!!
観終わった感想がこれである。
プレミアリーグ前半の天王山に相応しい試合。
マンチェスター・シティは、昨シーズンに「プレミアリーグ(3連覇)」「FAカップ」「チャンピオンズリーグ(初)」を制し、3冠の偉業を成し遂げる。
そのチーム力はさらに充実し、今シーズンも首位を走る。
一方、昨シーズンは5位フィニッシュと不甲斐なかったリバプールは、今シーズン、中盤を大幅に入れ替えたことで、仕掛けの質が向上。
勝点1ポイント差の2位で首位を追いかける。
言うまでもなく、この両チームは世界のトップオブトップである。
その両雄が激突する世界最高峰の試合を振り返っていこう。
Match Information
Match Result
戦術分析 | マッチレビュー
フォーメーション
マンチェスター・シティの布陣は「3-2-4-1」である。
「アケ」「ディアス」「ウォーカー」で3バックを形成し、「ロドリ」と「アカンジ」が2ボランチとなり起点を作る。
中盤4枚は左から「ドク」「ベルナルドシルバ」「アルバレス」「フォーデン」。
トップは「ハーランド」となる。
「ロドリ」「アカンジ」「ベルナルドシルバ」「アルバレス」が中盤でボックスを作る形となるため、「3-2-2-3」と言い換えてもいい。
そして守備陣形となる場合は、「アカンジ」がCBに入り、「ハーランド」と「アルバレス」が前線2枚となる「4-4-2」となる。
リバプールを見てみよう。
ビルドアップ時には今季から採用している「アレクサンダーアーノルド」の中盤化により「3-2-2-3」となる。シティと同じ布陣である。
一方、守備時には「アーノルド」が右SBに戻るので、「4-3-3(4-1-2-3)」となる。
無双とはベルナルドシルバのことである。
この試合、マンチェスター・シティのキーマンは「ベルナルドシルバ」であったことに疑いの余地はないだろう。
ボール保持能力に長けるマンチェスター・シティが主導権を握る展開において、リバプールは前線3枚で3バックに対峙し、2ボランチに対して2枚のインサイドハーフが当たることで、がっちり人数を噛み合わせてきた。
しかし、マンチェスター・シティのデザインされたビルドアップは神の領域に達していると言って良いだろう。
ボールと人を動かすことで「ずらし」を徹底的に狙う。
そして、ここでボールの出し先となるのが「ベルナルドシルバ」である。
リバプールのアンカーである「マクアリスター」の両端はエアポケットとなるが、このスペースを「ベルナルドシルバ」が完全に掌握する。
すなわち、もっとも恐れるべきストライカー「ハーランド」がいることでリバプールの両CBはピン止めされ、右SBの「アーノルド」は「ドク」が大外にいるため、これもまたピン止めされている状態となる。
「ベルナルドシルバ」は、リバプールのCBも右SBも対応しづらい絶妙なポジショニングでボールを受け、前を向くのだ。
そしてボールを受けたことにより「アーノルド」が釣り出されたところで、幅いっぱいに張っている「ドク」にパスすることで、左サイドからの仕掛けが何度も繰り返された。
再現性の高さは「ペップグアルディオラ」がもっとも重視するところであるため、これもきっちりデザインされたものであることが伺える。
「ベルナルドシルバ」は、CBラインでのビルドアップがうまく行かない場合、もう一列下がってボランチラインでボールを受ける場合も多く、ここでも積極的な受け手となっていた。
「ベルナルドシルバ」の動きはこれだけではない。
リバプールがボール保持時、シティは「4-4-2」でビルドアップを阻むが、中盤4枚の一角である「ベルナルドシルバ」は、ツートップの「ハーランド」「アルバレス」を追い越して、「アリソン」までプレスをかけるシーンが幾度となく見られ、縦横無尽な献身的なその動きは、まさにマンチェスター・シティの心臓であった。
その至る所に顔を出す様子はヒープマップでも如実に表れている。
ハーランドのシュートセンス
前半27分のシティ先制ゴールは、「ハーランド」のシュートセンスをまざまざと見せつけられたものだった。
「フォーデン」のシュートをキャッチした「アリソン」は、すぐさまライナー性のパントで前線に届けるつもりだったが、足が滑ってしまう(おそらく足を痛めていたと推測される)。
キックミスとなったボールは攻撃に参加していた「アケ」の元に落ち、「ハーランド」にボールが出ると、「ハーランド」は天性のボールタッチでボールを受けると同時に前を向き、コントロールショットでゴールを奪う。
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リバプールの狙い
リバプールは基本的にカウンター狙いだった(リバプールらしい!)。
基本的にマンチェスター・シティのポゼッション時間が長いため、受け身に回ることが大半であったが、ボールを回収した際のショートカウンターの鋭さはチームとしてデザインされたものである。
前線の収まりの良さは一級品で、その一瞬の合間に「ソボスライ」「マックアリスター」「アーノルド」が上がり、セカンド攻撃を狙うことが徹底されていた。
後半80分のリバプールの同点弾はまさにこの定跡が嵌ったと言えよう。
途中出場の「ルイスディアス」がカウンターを仕掛けると、上がってきたアーノルドが2列目で受けて、コンパクトな振りから繰り出されたシュートで同点ゴールを奪う。
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— SPOTV NOW JAPAN (@SPOTVNOW_JP) November 25, 2023
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アーノルドの修正
リバプールのキーマンは「アーノルド」であったと言って良いだろう。
「ベルナルドシルバ」が中盤で無双していた状態を、後半チームとしてきっちり修正できたのも「アーノルド」の修正が大きい。
「ドク」をケアするため、4枚できっちり最終ラインを作るとエアポケットが使われてしまうというジレンマが生じるため、「アーノルド」がツーボランチ気味の絶妙なポジションを取ることで、エアポケットにいる「ベルナルドシルバ」を牽制し、これによってマンチェスター・シティのビルドアップの出口を消すことに成功していたのである。
「ベルナルドシルバ」のポジショニング良さ。
そしてそれを受けた「アーノルド」のポジショニングの絶妙な修正。
ポジショニングでこんなにもゲームが変わるのかということを垣間見れた試合であった。
あとがき
さすが世界のトップを走る2チームである。
インテンシティの高さを基本としながら、デザインされたビルドアップ、一つのミスさえ逃さないカウンター、それらが何度も繰り広げられる息をつく間もないような試合であった。
週末にこんな濃い内容の試合を楽しめることに「サッカーが好きで良かった。」と改めて思った次第である。
とりあえず、もう一度心の中で叫んでおこう。
This is the Football!
No Football, No Life!
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