
コロナによる再開から2試合が終わりましたが、再開前の第1節を含めて2分け1敗で今シーズ初勝利が遠い東京ヴェルディ。
だいぶ肩透かし感があるスタートとなり、「今節も大丈夫?」的な感想が漏れ聞こえてきそうですが、第4節・大宮アルディージャ戦の私的戦術分析・マッチレビューを纏めていきたいと思います(インタビュー形式)。
Match Information.
明治安田生命J2リーグ 第4節
大宮アルディージャ vs 東京ヴェルディ
@NACK5スタジアム大宮
2020年7月11日(土)
19時00分 Kick Off.
試合結果
■Result
大宮アルディージャ 1-0 東京ヴェルディ
■得点
大宮アルディージャ/
1分 渡部大輔
私的戦術分析・マッチレビュー
-それでは今節もフォーメーションから見て行きましょう。
スタートのフォーメーションは第2節以降採用している【3-4-3】でした。
高橋祥平が前節レッドカードによる退場なので、3センターバックは右から奈良輪、若狭、平。
中盤2ボランチとして井上潮音と佐藤優平。
サイドハーフとして右に山下諒也、左に福村貴幸が入りました。
トップに端戸仁が構え、右ウイングに藤本寛也、左ウイングは小池純輝。
GKはマテウス。

-スタメンで何かコメントありますか?
奈良輪を3センターバックの一角として使うのに違和感がありました。
奈良輪はサイドを主戦場として、その運動量で上下に相手を揺さぶることが一番の武器と思っていますので。
それと大久保嘉人の欠場が続いているのが気になります。コンディション不良とのことですが、オフィシャルなアナウンスが欲しいところです。
GKのマテウスは予想通りのスタメンでした。
前節において柴崎の足元の技術の低さが露呈されてしまいましたので。
永井監督が理想とする最終ラインからつなぐサッカーでは、柴崎では心もとないと思ったサポーターは私だけではないと思います。
ここ2年程守護神を務めた上福元の移籍が悔やまれます。
-大宮アルディージャのゲームプランは?
大宮アルディージャのフォーメーションは【5-4-1】でした。
基本はヴェルディにボールを持たせて、自陣内ではブロックでスペースを与えず、ボール奪取したらカウンターを狙ったプランだと思います。
-またしても早い段階で先制されてしまいました。
良くないですね。
サイドからのクロスがスルスルと抜けてきてところをあっけなくおしこまれてしまいました。
立ち上がりと言え、ひとつひとつプレーに集中を欠いた結果だと思いました。
サポーターの頭には「え、また先制?」のような落胆があったのことは否めません。
-前半のヴェルディの攻撃はどうだったでしょうか?
前線3枚のポジショニングについて考察してみると、藤本寛也と小池純輝の立ち位置が左右で不均等になっていました。
藤本寛也はインサイドハーフの位置取りをしており、ハーフスペースやライン間でボランチからの受け手となることで頻繁にボールに触れて起点になろうとしていました。
藤本が内側でプレーした分、右の大外レーンは山下のオーバーラップによる攻撃するスペースを作る意味合いもありました。
一方で、小池純輝は左ワイドに固定した位置取りをしていました。
大宮は5バックのため、大外で張っているだけだとスペースがないため、ボールを受けても、次のプレーに繋がらないといった支障があったと思います。
従って、後半から小池純輝に代わって、井出遥也が入ったのは妥当と思いました。

-後半に変化はありましたか?
東京ヴェルディは後半からシステムを【4-3-3】に変更してきました。
井上潮音に代わって入った藤田譲瑠チマがアンカーを務め、佐藤優平と藤本寛也がインサイドハーフ。
山下を右ワイドに上げて、小池純輝のポジションに井出遥也が入りました。
大宮アルディージャは引き続き自陣に下がって固めるシステムなので、ヴェルディがボール保持している際は【2-1-2-5】のようなほぼ全員が大宮アルディージャ陣内に入るフォーメーションとなります。
-後半動きが良くなったように思えましたが?
中盤がツーボランチからアンカー+インサイドハーフとなったことで、楔を入れるケースが多くなり、前への意識が強くなりました。
もともと大宮アルディージャはワントップなので、ヴェルディに対するプレスは強くありません。
従って【5-4】のブロックの【4】の前までは簡単に前進できるので、ツーボランチも要らなかったという永井監督の考えだと思います。
その分、佐藤優平と藤本寛也をインサイドハーフにすることで、前半に藤本寛也がやっていたハーフスペース、ライン間でのプレーに厚みを持たせたようという意図がみえました。彼らは狭いスペースでもボールを受けて捌くことができますので。
ー数的優位も作れた?
アンカーを置くことで、最終ラインと中盤で3対2の数的優位を構築しました。
また、前線では大宮アルディージャの5枚に対してヴェルディも5枚配置することで数的同数で勝負するシステムでした。

-それでも大宮アルディージャから得点を奪えませんでした。
大宮アルディージャの統率のとれたディフェンスラインが素晴らしかったということに尽きるのではないでしょうか。
例えば、端戸仁はフリーマン的な動きで最終ラインから中盤に下がる動きを見せていたのですが、大宮アルディージャのCBが端戸仁に釣り出されて後ろのスペースを空けてしまうといったことがありませんでした。
本来であれば、端戸仁が下がってきたスページに両サイドの選手がダイアゴナルランで入ってくる等の動きもあったのでしょうが、それをさせてくれない大宮アルディージャのクレバーさがありました。

総括
-そろそろ総括をお願いできますでしょうか?
今シーズン全勝無敗の大宮アルディージャの強さ、したたかさを見せつけられた試合だったと思います。
東京ヴェルディは後半開始から暫くはいい動きをしていたのですが、そこで得点できなかったところに大きな課題がありますね。
その課題に対しては、コンディション調整中と聞いている大久保嘉人やレアンドロといった重量級の前線選手の復帰が待ち望まれるところです。
それと、今節ベンチに入った阿野真拓選手の今後に期待してしたいですね。
まだ高校2年生で飛び級のトップ昇格となったユースの逸材で、身長も低いのでフィジカル面での見劣りはあると思いますが、プレーの判断力、戦術理解度は相当高い選手であることは間違いありません。
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