どうしたんだ、リバプール!
というような状況でした。
チャンピオンズリーグ/ラウンド16/1stレグでシメオネ率いるアトレティコに敗戦を喫すると、プレミアリーグ第28節で降格争いをしているワトフォードに完敗、そしてFA杯5回戦でもチェルシーに敗戦と、ここ4試合で3試合に泥を付けられた格好。
でもですよ、ここまで圧倒的な強さを見せてくれていましたが、このような時期もある、というのがリバプールらしいかと。
そして、今節。対戦相手は再び降格圏のボーンマス。ワトフォードに続く敗戦はあり得ない中、リバプールは「隙を逃さない」切り返しの速さで勝利をものにしました。
それでは私的戦術分析・マッチレビューです。
Match Information.
プレミアリーグ 第29節
リバプール vs ボーンマス
@アンフィールド
2020年3月7日(土)
21時30分 Kick Off.
試合結果
■Result
リバプール 2-1 ボーンマス
■得点
リバプール/
25分 サラー
33分 マネ
ボーンマス/
9分 ウィルソン
私的戦術分析・マッチレビュー
まずはフォーメーションの確認をしていきましょう。
リバプールは【4-3-3】のフォーメーション。スタメンは以下通り。
アドリアン(GK)、アーノルド(右SB)、ゴメス(CB)、ファンダイク(CB)、ミルナー(左SB)、ファビーニョ(アンカー)、チェンバレン(IH)、ワイナルドゥム(IH)、マネ(左WG)、フィルミーノ(CF)、サラー(右WG)
アリソンは負傷、そしてゴメスが負傷から戻ってきました。
主将であるヘンダーソンは今節欠場ですが、4日後に控えたチャンピオンズリーグに照準を合わせている模様。
一方、ボーンマスは【4-1-4-1】でスタート。
ラムズデール(GK)、ステイシー(右SB)、アケ(CB)、Sクック(CB)、スミス(左SB)、レルマ(アンカー)、フレイザー(右SH)、Lクック(CH)、ビリング(CH)、スタニスラス(左SH)、ウィルソン(CF)がピッチに立つ。
ボーンマスの考察
前節のワトフォード戦。リバプールは完敗しました。
そしてそれはリバプールと対戦するチームに一つの解を与えるような試合でもあったと思います。
- リバプールに負けないハードワーク、強度の高いプレーを最初から最後まで維持すること。
- 徹底的に引く場合、最終ラインのウラを取られないようなスペースコントロールをすること。
- ライン間をタイトにし、中央にボールを入れさせず、また中央で持たせないこと。
当然、ボーンマスもワトフォード戦を意識したと思います。
守備時のフォーメーションはレルマがCHの間に入り【4-5-1】を形成。
ファンダイクとゴメスのボール保持は許容し、トップのウィルソンがアンカーであるファビーニョへのコースを消しながら、中に入れさせないポジショニングを取り続けます。
CHのLクックとビリングは、ファビーニョへボールが出ないことで下がってボールをもらおうとするチェンバレン、ワイナルデゥムにはきちんとついて行くことでボールの出しどころを消す動きを取っていました。
ボーンマスの両SHがアーノルドとミルナーをケアし、最終ラインと中盤ラインのスペースもコンパクトであるので、結果、リバプールを自陣に誘い込んだうえで、CBからのパス供給を遮断する布陣をひいてきました。
自陣でボールを回収したボーンマスは、ウィルソンを起点としたカウンターを仕掛けるというプラン。
そして、前半早々にボーンマスのプランは実を結んだのでした。
リバプールの共通認識
早々に失点を喫したリバプール。嫌な流れは断ち切れないのか、と思った人は少なくないと思います。
しかし、今日の前線の3人は動きが良かったと思います。
引いて守られるのでスピードを活かしたプレーが難しい中、少しでもスペースがあればウラを取っていこうという、共通認識がしっかりできていました。
16:08のシーン。アーノルドがゴメスからボールを受けると、右足アウトサイドでボーンマスのCB間に走るフィルミーノを狙うことで大きなチャンスとなりました。
そして、リバプールの逆転に繋がる32;05のシーン。
センターハーフ付近でボールを回収したファンダイクは、迷うことなくディフェンスラインのウラへ走るマネへ見事なスルーパスが入ります。
攻撃時の局面、ポジティブトランジション(守→攻への移行)時の局面として、リバプールらしい縦への攻撃をしようという意図がしっかりと見えました。
フィルミーノのハードワーク
話は前後しますが、リバプールが同点に追いつくシーン。
ボーンマスのビルドアップの一瞬のミスを狙ってマネがボールを回収。
その瞬間にサラーも並列で走り出し、ボールを受けたサラーがワンフェイントいれて同点ゴールを奪いました。
このシーン。ボーンマスのビルドアップにおけるミスを誘発したのは、フィルミーノのハードワークでした。
フィルミーノが献身的にシンプソン(Sクックに代わり19分にIN)にプレスを掛け、マネの方向に誘導したことが効いていました。
前線からのプレスは「連動して嵌めに行く」ことが重要となりますが、スイッチの入れどころを間違うと嵌りませんので、フィルミーノのハードプレスとマネの連動が光ったシーンでした。
気になるところ
ところでファビーニョ。
相手の攻撃の芽を摘むという点では非常に能力が高いですが、攻撃のビルドアップに参加するという点では、ヘンダーソンに比べると大きく見劣りすると考えます。
この試合もボーンマスCFのウィルソンのカバーシャドウに阻まれ、ボールが中盤に入らずに「待っている」シーンが多くみられました。
仮にヘンダーソンであれば、最終ラインまで下がることで、ボールの起点を作り、中盤にスペースを作る動きをしていたのではないかと。
改めてヘンダーソンの存在の大きさを感じました。
終わりに
クロップ監督からすれば、どうしても勝ちを取りたい試合であったと思います。
加えて、リバプールらしいサッカーとは何なのか?ということを改めてチームに問うたゲームでもあったと思います。
引いて守ってくる相手が多い中、ブロックの外側でボールを回すことに終始せず、少しでもスペースが見いだせれば、縦に、ウラにパスを供給していこうという姿勢が見られた試合でした。
先制点を取られたシーンは反則とも捉えられないプレーによるものでしたが、逆転で勝ち点3を奪取できたことは、再び波に乗るという点で非常に大きいものでした。
リーグ制覇まで「あと3勝」まで迫ってきました。次節(第30節)はvs エバートンとのマージーサイドダービーですが、その前にチャンピオンズリーグ/ラウンド16/2ndレグ vs アトレンティコ戦という大きな山場が控えています。
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